鍵による防犯対策

ピッキングへの対策

ピッキングとは、鍵穴に針金のような先端の細い特殊な道具を差し込んで鍵を開け、住宅内部に侵入する窃盗手口のことです。窃盗団のメンバーであれば、1分もかからずに鍵を開けて中に侵入できると言われています。また、全くの初心者でもインターネットや雑誌などで公開されている手口を学び、数時間も練習すれば鍵開けができてしまうそうです。

現在のところ、ピッキングで開けられないシリンダー錠は存在しませんが、被害に遭わないようにするための対策はあります。それは、開錠に時間がかかるようにすることと、2つ以上の鍵を設置することです。近年では、鍵を開けるまでに非常に時間がかかるように、工夫されたシリンダー錠が数多く製造されています。防犯性能がもっとも高いシリンダー錠では、ピッキングで開錠するのに10分以上かかります。

鍵の防犯性能の向上によって、2000年頃からピッキング被害は減り続けているものの、犯罪自体の件数が減っている訳ではありません。そこで1ドア2ロックです。欧米では常識になりましたが、日本ではまだ浸透しきれていないのが現状です。補助錠などを使って後から鍵を追加することは比較的簡単ですので、防犯対策のためにも是非実践してください。ただし、賃貸物件の場合には、物件の所有者や管理者に確認する必要がありますので注意しましょう。

合カギによる侵入対策

合カギを使った空き巣の手口もあります。たとえば、住人がポストや植木鉢の下などに合カギを隠していると、その合カギを空き巣に使われてしまうことがあります。盗んだ鍵をさらに複製して使うというケースも。空き巣は念入りに下見をしてから住宅に侵入します。植木鉢やポストなどに鍵を隠しても、簡単に見つけてしまうでしょう。

合カギを使った侵入は、鍵が壊されるといった変化がないため住人が気付きにくいのが特徴です。異変に気付いても、いつから被害に遭っていたのか、あるいはどれくらいの被害に遭ったかなど、実際の被害状況が分かりにくい厄介な手口でもあります。こうならないためにも、まずは合カギを外に置かないよう徹底しましょう。万が一でも、住人以外の人物が触れられるような場所での管理は控えてください。

また、合カギによる浸入対策でもっとも有効な方法は、鍵を使わずに戸締りができるキーレス錠に交換することです。鍵も鍵穴も存在しないため、ピッキングでドアを不正に開けられることも、合カギを使って中に侵入されることもありません。キーレス錠は一つだけ作っておけば家族全員が使えるため、コスト面や利便性においても非常に優れていると言えます。種類も豊富で、好みのタイプを選ぶことも可能です。

たとえば、カード型の電子マネーを使う機会が多い人であれば、電子マネーにIDをつけて鍵として使うタイプを選ぶのもよいでしょう。その他、暗証番号で鍵を開閉できるもの、指紋認証を採用しているキーレス錠もあります。

錠破りによる侵入対策

近年ではバールをドアと壁の間に差し込み、テコの原理を利用して強引にドアをこじあける、錠破りという悪質な手口を使った空き巣が急増しています。このような空き巣は手口が粗っぽく、大胆な侵入方法であるがゆえに、留守の家をねらって行われることが大半です。また、錠破りにはそれほど時間がかかりませんので、ちょっと出かけた隙を狙ってくる可能性もあります。

錠破りを防ぐには、まず空き巣に自宅が留守だと思われないようにすることが大切です。たとえば、昼間でも家の雨戸やカーテンを閉めていると留守にしていると教えているようなもの。また、郵便受けに新聞や郵便物がたまっていれば、長期にわたって留守にしていると予想し浸入を試みます。郵便受けはこまめに空にしておきましょう。照明もなるべくつけておくようにすると、ターゲットになりにくい環境が作れます。

また、補助錠とガードプレートをドアに取り付けるのも有効です。ガードプレートとは、ドアの鍵全体を覆ってくれるカバーのことです。ガードプレートによってドアと壁の間の隙間を埋めることができ、バールを差し込めなくなります。さらに、扉に複数の鍵をつけるワンドアツーロックにしておけば、鍵を壊して開けるのに2倍~3倍の時間がかかるため、浸入を諦めさせるには効果的な対策です。

サムターン回しによる侵入対策

サムターン回しとは、ドアスコープや郵便受け、ドアの一部にドリルで穴を開け、そこから特殊な道具を使いサムターンを回して鍵を開ける手口のことです。玄関のドアは内側からサムターンを回して開け閉めできるように作られていますが、これを強引に外側から行って浸入します。

最近では新手のサムターン回しも増えてきています。ドアのわずかな隙間から針金で作ったサムターンを回すための器具を差し込んでドアを開けるというものです。この方法では、ドアを傷つけることなくサムターンを回せてしまうため、犯行に気付くのが遅れるという点が厄介です。サムターン回しに対抗するには、郵便受けを頑丈な素材のものに交換する、ドアの鍵をドリルで簡単に穴が開けられないようなものに交換するなどのほか、ガードプレートを取り付けて針金などが入るような隙間をなくしてしまうという方法もあります。また、サムターン回し対策が施された鍵に交換するのも良いでしょう。

バンピングによる侵入対策

バンピングとは、バンプキーという特殊な配列の鍵山を持った鍵を作り、簡単な構造のシリンダーの鍵を開けてしまう手口のことです。バンピングに使うバンプキーは不正侵入のときに使う特殊な鍵のことで、米国では通信販売で簡単に購入することができます。バンプキーによる鍵開けは、難しい技術を必要としません。バンプキーさえ精巧に作られていれば、コツをつかむ程度で十分です。バンプキーを作成する際の素材も、比較的簡単に手に入ります。バンピングは鍵を開ける方法が特定しにくいので、泥棒に入られたことがわかりづらいのが特徴です。マンションやアパートなどの集合住宅では同じタイプの鍵を使っていることが多く、特に狙われやすいと言われています。

バンピングを防ぐには、メインの鍵をバンピング対策が施された鍵に交換することが有効です。また、防犯カメラや人感センサーがついたライトを取りつけ、不審者に犯行を諦めさせる工夫をすると同時に補助錠をつけるとさらに効果的です。補助錠をつける際には、一つを鍵穴のないタイプの鍵にするとさらに安全性が高まります。バンピングの一番怖いところは、被害に気付くのが遅れることです。万が一被害に遭ってしまった場合にも、なるべく早い段階で気付けるよう普段から意識することが重要となります。クレジットカードや銀行などはこまめにチェックをし、取られて困るものは自宅に置かないようにしましょう。

補助錠について

補助錠とは、防犯性能を高めるために、メインの鍵の補助をする目的で取りつける鍵のことです。防犯の基本は、1ドア2ロックです。1ドア2ロックにすると、侵入までに時間がかかると空き巣に思わせる効果が得られるほか、鍵を多くつけていることをわからせて犯行を諦めさせることも可能です。

玄関につける補助錠は種類が豊富です。ドアノブについている鍵のすぐ上に取り付けるもの、下に取りつけるもの、メインの鍵をカバーするものなどさまざまです。CP認定錠の補助錠ドアを補強する部品とともに取りつけると、バールでドアをこじ開ける行為にも耐えられるようになります。

また、玄関に限らず、窓ガラスを破って侵入する窃盗事件も多発しています。サッシの鍵を簡単に開けられてしまわないよう、サッシにも補助錠を使いましょう。

防犯性能表示

鍵製品に見受けられる「防犯性能表示」とは、鍵がもつ防犯性能をいくつかの区分ごとに検証し、その耐性を示したものです。

平成15年、ピッキングに代表される鍵の不正解錠を防止することを目的に、正当な理由なしにピッキング用具を所持・携帯することを禁止する「特殊解錠用具の所持の禁止等に関する法律」が施行されました。これを受け翌年から、指定建物錠には防犯性能の表示が必要となりました。指定建物錠とは、国家公安委員会が「建物錠のうち特に防犯性能の向上を図ることが必要」と指定した鍵で、「シリンダー錠」「シリンダー」「サムターン」の三種類がこれに該当します。

これら該当製品には「ピッキング・かぎ穴壊し・サムターン回し・カム送り・こじ破り」の区分において、耐性の有無、または耐えられる時間などが表示されています。鍵を含め、特に防犯性能の高い建物部品には、官民合同会議・防犯性能試験に合格した証である共通のCPマークを表示できます。

防犯設備士

防犯設備士とは、防犯や鍵のセキュリティに対するエキスパートの資格であり、社団法人である日本防犯設備協会が認定する資格の一つです。試験自体は、防犯カメラや金庫、鍵等の防犯機器・防犯設備に対すること全般から防犯対策の立て方、防犯機器の取り付け方等の知識に関する内容が主体となります。

規定の講習を受け、その後、協会の主催する試験を受験して合格すれば、その資格を取得することが可能です。なお2010年時点での資格取得者に関しては、全国でも2万人弱でもあり、試験自体はそれほど難しくなく、防犯やセキュリティに対して興味と勉強をしっかり行えば合格できます。

またその上位資格には、総合防犯設備士というものがあり、これは一次試験の他に二次試験として面接試験がある二部構成になっている試験です。その点、単なる防犯設備士よりも難易度も高いため全国でも300名程度しかいません。

また資格を取得したことに伴う免許については更新制を採用しており、更新は5年毎ですが平成25年からは3年毎になります。将来的に、人々の防犯・セキュリティ意識の高さもあるため、注目されている資格でもあります。