鍵開けの手口

打ち破り

打ち破りとは、ガラスを破って不法侵入をする手口の一つで、主に一戸建ての住宅のガラスをポケットや袖に忍ばせたバールやハンマーなどの道具を使って割り、割れたところから手を入れて鍵を開け侵入することをいいます。ときには庭にある石や道具が使われることもあります。住居侵入の手口のうちの実に70%近くがこの打ち破りの方法がとられています。

ガラスを大胆に割るため、非常に大きな音が発生しますが実行する犯人は気にしない、または周囲に雑音をたててかき消す方法がとられることがあります。その後、周囲の人、もしくは警備員が来る前に速やかに犯行を済ませ逃げようとします。ガラスを割る瞬間の音は実に120デシベルにも達します。これは動いている飛行機のエンジンの間近にいる時の音の大きさに一致します。

対策としては、ガラスをすぐに破れない防犯合わせガラスなどの強い質のものに取り替え、破られる時間を少しでも長くする方法が有効です。

カム送り

侵入する手口としてピッキングに変わり新たに使われるようになったのが平成14年に発表されたカム送り/バイパス解錠という解錠方法です。

この方法は、手で引っ張ると扉との間に隙間ができるようなタイプのシリンダーで使われ、この隙間に特殊な工具を用いてカムを直接操作することで不正に解錠できるようになります。鍵を閉めるときも同じようにカムを直接操作すればいいので、犯行の痕跡がすぐに分かることはありません。この手口が公開された当時はピッキング対策を施していた鍵でも行えてしまったため、全く効果はありませんでした。

現在では鍵に対策がしっかりと施されており、シリンダーカラーとドアの間を塞ぐ金具やシリンダー自体にカム送りができないように仕掛けが設けられているものが市販されています。

こじ破り

こじ破りとは、マイナスドライバーを用いて窓ガラスにヒビを入れて取り外し、割ったところから鍵を開けて侵入する手口のことです。ヒビのカタチが三角形に見えることから、別名三角破りとも呼ばれます。

サッシとガラスの間に2箇所程突き刺せば簡単にヒビが入ってしまいます。侵入できるまでは10秒~20秒と早く、しかもコップにヒビが入るほどの大きさの音で目立たないことから近年急増している手口です。賢い犯人だと、網戸を閉めてカモフラージュすることもありますので、遠くから見るとその手口はわかりにくくなってしまいます。

対策としては防犯フィルムを貼りガラスを強化するか補助錠を取り付けることですが、防犯フィルムよりも大きい範囲のガラスを抜かれたら手がつけられなくなるという問題も発生します。ガラスにヒビが入ると大きな音が鳴り、割れてもなかなか貫通しない防犯ガラスに取り替えるのが効果的です。

なお、諸外国でこじ破りを想定した防犯ガラスの基準がないのは、現状この手口は日本国内でのみしか使われていないからです。

サムターン回し

泥棒がドアの鍵を開ける方法のひとつに「サムターン回し」と呼ばれるものがあります。まずサムターンを説明します。普通、自宅玄関ドアの鍵を閉める場合、外出の際はドアの外側からキーを使って施錠します。逆に、自宅にいる場合は中から施錠しますが、このとき多くの場合、ドアに設置されたつまみ金具を回すことで施錠します。このつまみ金具のことを、親指(サム)と人差し指でつまんでひねる(ターンさせる)ことから「サムターン」と呼びます。もしこのサムターンをドアの外側から回転させられたら、泥棒はやすやすと家に侵入してしまいます。

代表的な手口は、マンションのドアなどに多く見受けられる郵便受けの隙間から、特殊な工具を差し込んでサムターンを回す方法です。また、ドアスコープを外しその穴から工具を差し込む方法や、荒い手口になるとドリルで強引にドアに穴をあけてしまうケースもあるようです。

これを防ぐ方法としてサムターンにカバーを付けたり、押し回し式にすることである程度効果が見込めますが、できれば室内からもキーで施錠するタイプに交換したり、補助錠を増設したりすることが効果的でしょう。

サムターン回しの手口には、郵便受けの隙間やドアスコープから工具を差し込む方法があります。対策としては、サムターンにカバーを付けたり、補助錠を増設したりすることがあります。

ドリリング

ドリリングとは、電動ネジを用いて鍵穴を物理的に破壊して進入する手口のことです。特殊な技術を用いないため、誰でも行えますが原始的な方法で鍵をこじ開けるためにシリンダーが傷つくだけでなく、ドア本体にも大きなダメージを及ぼすことがあります。

また、ドリルを使う以上、金属を破壊する際に非常に大きな音が発生しますので、近年では物音が目立たない他の手口による侵入が主流となりました。

もちろん近年では鍵に対策がとられており、ドリリングを防止するべく鍵にプロテクター付きのプレートが組み込まれたシリンダーや補強部品などの部品を付属している鍵が市販されています。破壊に要する時間や手間をかけさせることで、犯罪を諦めさせる心理的効果があります。

バンピング

バンピングとは、特殊な鍵を用いて不正にドアを解錠することです。バンピングに用いられる特殊な鍵のことをバンプキーと呼びます。バンプキーさえあればピッキングよりもはるかに簡単に解錠ができてしまうので、今非常に問題になっている手口です。バンプキーで開けられるのは全てのシリンダーが対象ではなく、ピンタンブラーという部品を利用したピンシリンダーや、それと構造の似ている一部のディンプルキーシリンダーのみとなっています。

ピンシリンダーの構造は、施錠時は上ピン(ドライバーピン)と下ピン(タンブラーピン)が鍵の侵入を邪魔しています。ところがバンプキーを鍵穴に差し込み衝撃を与える(バンピング)と、下ピンを弾き飛ばし一瞬だけ宙に浮かせることができ解錠できてしまいます。同じようなタイプのシリンダーを利用していると思われる集合住宅などは特に狙われやすいといわれています。バンプキーは簡単に作れる上、痕跡も残りません。防犯上必要があればシリンダーごと交換する方が無難です。

ピッキング

ピッキングとは、錠を破損・破壊させずに解錠を行う行為を指します。一般的に「ピッキングツール」と言われる細長い形状の道具を使用して行います。そもそもこの技術は、正当な鍵業者の業務サービスにおいても、鍵紛失時などのトラブル解決方法として使われており、この行為そのものは犯罪ではありません。

しかしピッキングは、室内への不法侵入や窃盗を目的とした解錠に使用される場合があります。熟練者においては、ほんの数十秒で解錠を行えるのですが、この場合においては、明らかに犯罪行為であると言えます。

ドアや錠前を破壊したり、あるいは窓を破壊して侵入するよりも比較的短時間で侵入可能であり、第三者に目撃される可能性を軽減し犯罪の証拠を残しにくいこともあって、これまでピッキングを利用して室内へ侵入し、不法侵入・窃盗行為をはたらく者が数多くいます。

ちなみに近年では、ピッキングによる犯罪被害が減少する傾向にあるとされています。その一つの要因としては、ピッキングが比較的容易であるピンシリンダー錠の危険性を認識した人が増えており、ピッキング被害を受けにくい構造・機能の錠を設置対策するケースが増加していることが挙げられます。

焼き破り

近年住宅の侵入方法で増えてきたのが焼き破りと呼ばれる手口です。焼き破りとは、ガラスにライターやバーナーで熱を加え、ヒビが入り耐久性がなくなったところで水をかけて急激に冷やしてヒビを入れて割り、割れたところから鍵を開け侵入していきます。薄いガラスでできたコップに非常に熱いお湯を入れると耐久力が弱まるのと同じ原理です。

特殊な技術や工具は必要なく、打ち破りのように大きな音が出ることもありません。このように、目立たないというメリットは有りますが、侵入までには多少の時間がかかるというデメリットも有ります。

対策としては耐衝撃性、耐熱性に優れた窓ガラスに交換する、窓の上下に補助のキーロックを追加する、防犯フィルムや防犯アラームをつけるなどの方法がありますが大地震が発生した場合に脱出しにくくなってしまうなど一長一短なところもありますので慎重に選ぶようにします。少しでも時間をかけさせることで犯人は諦め、逃げていくのです。

シリンダーもぎ取り(ノブもぎ取り)

近年、「シリンダーもぎ取り(ノブもぎ取り)」の手口による住居侵入での空き巣被害が増えています。「シリンダーもぎ取り(ノブもぎ取り)」とは、ドアノブに付いた円筒状のシリンダーをバールやプライヤーなどの工具を用いて、強引にもぎ取りを行なうことです。

この方法はドアノブがドアより飛び出ていれば可能で、シリンダーとドアの円形の隙間に工具の先端を入れ、梃子の力で容易にもぎ取ってしまいます。家庭内のトイレドアや洋室の部屋のドアなどに付いているシリンダータイプの錠で、一戸建てであれば、勝手口のドアがそういった鍵を取り付けているケースが多いです。

そのドアノブは幾つかのビスでドアに打ち付けているだけですので、工具を使えば簡単に取り外しが出来てしまいます。その防犯対策については、補助錠を付けて鍵を2ヶ所にするか、ドアよりドアノブが1cmもはみ出ないタイプの鍵に交換するといった方法があります。

溶解破錠

溶解破錠はシリンダー中の鍵の仕組みを溶解して開錠する方法です。溶解には特殊な液体を使用します。液体は高濃度の酸性の液体です。その液体を鍵穴に注入することによって溶解させるのです。

例えば、ディスクタンブラーの錠はこの方法で簡単に開錠できます。液体を用意するのに手間はかかりますが、熟練の技術は不要であり、作業時間もあまり必要ではないので、お手軽な開錠方法といえます。

対象となるシリンダーによっては、液体を注入しても上手くいかないことがあります。溶液が十分に働く前に外に流出してしまうからです。これを防ぐには、流出しないように前もって、鍵の細かい穴をパテなどで埋めておけばいいです。そうすれば、シリンダー中で液体を十分作用させることができます。ある程度、溶解させれば、内部の構造がもろくなります。最後まで構造を溶解させなくても、もろくなった状態で外部から衝撃を与えることにより、構造を崩して開錠することも可能です。