板バネ押し鍵式錠の紹介

「板バネ押し鍵式錠」とは、世界的にも古くから存在する鍵の一種で、日本でも中国の唐から伝わった海老錠があります。奈良時代に建てられた正倉院の御物としても伝わっています。

さらにこの海老錠から日本でも独自の和錠の普及にも繋がっており、鍵の原型としても定着した錠前です。「板バネ押し鍵式錠」は中国が起源とされている鍵ですが、蓮紋・双魚紋・鳳凰紋・チベット製などの種類があり、そうした装飾を施すことで縁起を担いだ側面も見られます。

王侯諸族から庶民まで普及した鍵でもあります。なおその構造としては、錠内部で板ばねが広がっており、閂をスライドさせないことで施錠して、そこへ鍵を差し込んでばねを挟みこんで閂をスライドさせる状態にして解錠させる方式になっています。セキュリティ対策としても、鍵穴の形状と途中に障害を持たせた機構を採用することで管理することで実現しており、管理者しかその構造が解らない仕組みにすることも可能です。

当時も現在と同じ様にピッキング被害も多かったので、それへの工夫も見られます。複雑なからくりや仕組みを併せて施すことも可能なため、日本でも戦国期には鍛冶技術が発展したと共に盛んに使用された錠前となります。