マスターキーの紹介

鍵は形状が個体ごとに違っているのは当然で、30個の鍵があれば、30通りの形状があります。それぞれの鍵でセットになっている錠を開けることができますが、セットでない鍵と錠の組み合わせでは開錠できません。しかし、ある一つの特別な鍵だけはその全ての錠を開錠することができます。この特別な鍵のことをマスターキーといいます。

マスターキーには様々な種類があり、複数のマスターキーの特徴を併せ持つ上位互換のキーもあります。なぜ、一つの鍵で全ての錠を開けることができるのかというと、それは鍵穴に秘密があります。個別の鍵のほかに、マスターキーでも開けられるようにあらかじめ設定されているのです。そのため、マスターキーの使用を想定していない鍵穴より構造は複雑です。

マスターキーが使われる施設としては、ホテルやマンションが一般的です。普通の鍵とマスターキーは形状がよく似ており、一般の人には見分けるのは困難です。

マスターキーシステム

1本の鍵(マスターキー)によって、複数の錠前を施錠・解錠することが可能な仕組みを、「マスターキーシステム」と言います。一般的には、賃貸の集合住宅(マンション、アパート)や、ホテルなどの建物において、複数の戸室・部屋を管理する必要がある場合に採用されており、マスターキーは、賃貸物件のオーナーやホテル管理者が、所有管理することとなります。

マスターキーシステムにおける各扉の錠前は、基本的にシリンダー錠です。ピンシリンダーの場合、鍵をシリンダーに差し込んで操作を行い、各ピンタンブラーの上ピンと下ピンとの間(シアーライン)を揃えることによって解錠することになりますが、マスターキーシステムにおいては、その錠前専用の鍵に対応したシアーラインとは別に、マスターキーに対応したシアーラインを設定することによって、マスターキーによる解錠を可能にしています。

なお、個々の錠前の専用鍵では、他の戸室・部屋の錠前を解錠することができません。ちなみに、異なる複数種の鍵によって、特定の錠前を操作することが可能な仕組みは、「逆マスターキーシステム」と呼称されています。具体例をひとつ示すと、マンションにおいて、各住戸の鍵で、共用玄関扉、ゴミ集積所扉、非常口扉などを解錠可能なシステムが考えられます。